映画『オレの記念日』にお寄せいただいたコメントをご紹介します

冤罪は、その人の尊厳と自由を奪っていく。
桜井さんはなぜ、ここまで笑顔で笑っているのだろう
桜井さんはなぜ、ここまで受け止めていけるのだろう
この映画を通して「桜井さん」に惚れない人はいない
「自由を取り戻した日のために、仕事をする日のために」
奪われた日々が責任を取ることで戻ってくるわけではない
不思議
桜井さんはいつだって前を見ている
冤罪で収容されていた日々ですら
会いたい、桜井さんに
聴きたい、桜井さんの キンモクセイ。
冤罪によって自由を奪われた人が、今もいるかもしれない
無関心ではいられない問題を
無かった事にしてはいけない

サヘル・ローズ(俳優/人権活動家)

『不運は不幸ではない』という言葉にたどり着いたその日々を多くの人に知ってほしい。

周防 正行/映画監督

最初から最後までゲラゲラ笑いながら観てしまいました
桜井さんの人間的魅力はそれほど強烈です
「ぴったし カン・カン」というテレビ番組がスタートし、
やがて「ザ・ベストテン」も始まり、
ついに「ニュースステーション」も終了
これが、ぼくにとっての29年間でした
桜井さんの獄中生活と同じです
これは長かったでしょう
その時間を「楽しかった」と言い切る桜井さんは、まさに超人
若い人にとか司法関係者にとかは申しません
すべての人に観てもらいたい映画です

久米宏(フリーアナウンサー)

語弊を怖れず言うと、なんと面白い冤罪映画なのだろう、と。もちろんこれは「主演」桜井昌司さんのキャラクターに負うところが大きいのだけれど、そんなサービス精神旺盛な主役をそっと軌道修正する「助演」の奥様の存在も効いている。
桜井さんの痛切の念も一方で描かれ、従前の冤罪映画とは一線を画す面も。再審、国賠訴訟と勝利した後の半生を、いまだ冤罪と戦う被害者と生きる桜井さんは、そこで初めて静かな怒りをのぞかせる。

やくみつる(漫画家)

悪政まみれのクソニッポン国の中で、理不尽にも冤罪事件で29年間の牢獄生活を余儀なくされた桜井昌司さん。私だったら、生きる気力を無くして絶望の淵に沈んでしまうだろう。
しかし、桜井さんは違う。
「冤罪事件が私を生まれ変わらせてくれた、ありがたい、と思っている」と価値観を逆転させる奇跡の言葉。
まさに、国家権力の横暴さを無化せしめる魔法を見せてくれる映画である。

原一男(映画監督)

映画の観賞中、「この話がドキュメンタリーではなくフィクションだったらよかったのに…」と何度思ったことか。それほど桜井昌司さんに起きたことは辛い。冤罪で29年間にもおよぶ獄中生活を強いられたのだから。
でも桜井さんは最初から最後まで明るい。刑務所の中では毎日はつらつと元気に働いていたと語る桜井さん。現在は冤罪に苦しむ仲間を勇気づけるため全国を駆け回っている。
配偶者となった女性は「彼の明るさに惹かれた」と話す。桜井さんの言葉「不運は不幸ではない」を通して「幸せとは何か」を考えさせられる。「冤罪」だけではなく、「人間の生き方」について考えさせられる映画である。

サンドラ・ヘフェリン(著述家)

私は、子どもの頃に「警察により無実の罪がでっち上げられる」という国家の闇に触れる機会があった。「冤罪」である。
いわれなき罪を強大な権力にでっち上げられた人の怒りと失望と恐怖を思うと、今も、自分のこぶしを床に打ち付けて叫びたい衝動にかられる。
映画の主人公、桜井昌司さんは、自然体の姿を私たちに見せ、どんな人生でも楽しめると励ましてくれる。その裏側には、想像を絶する失望の夜と、今なお超えていない闇があるだろう。
明るい桜井さんの背中こそが、最大の権力への復讐であるように私には見える。そしてその隊列を共にしたいと、映画を観て改めて心に誓った。

大石あきこ(れいわ新選組 衆議院議員)

昌司さんと出会ってもう10年以上になる。冤罪事件の救済や再審法改正に向けた活動でともに闘い、時にはライブコンサートで同じ舞台にも立った。
歌、文筆、料理、庭仕事、、、と何でもこなす器用さ、聴衆層に応じて臨機応変に対応できるスピーチの上手さ、何より人を惹きつけて止まない包容力に接するたびに「神様がこの人を選んで、この過酷な運命を背負わせたとしか考えられない」と常々感じていた。
この映画を観て、その思いがますます強くなった。
そのような存在である昌司さんのドキュメンタリーだから、どんなにストーリーが練られた上質なドラマよりも、どれほどプロットの巧みなフィクションよりも、ずっと面白いのだ。
しかも金監督は、昌司さんのすべてをつぶさに描き切るのではなく、彼の日常を淡々と描くことで、観る側に「想像するのりしろ」を残してくれた。
観客の皆さんにはぜひ、ポジティブで楽観的で明るい昌司さんの向こうに、冤罪にどれほどの理不尽と苦悩と怒りが渦巻いているかを、想像していただきたい。
2019年9月、私の夫がステージ4の大腸がんと診断されたのと同じころ(実に1日違いで)、昌司さんもステージ4の直腸がんと診断されたことを知り、衝撃を受けた。
夫はすでにこの世にいない。
布川事件が国賠まで完全勝利した一方、大崎事件はまだ再審請求段階の闘いが続いている。
正直胸が苦しくなるときもあるけれど、だからこそ、昌司さんにはまだまだ生き続けて、ともに闘いを続ける同志でいてほしい。

鴨志田祐美(弁護士、大崎事件弁護団事務局長、日弁連再審法改正実現本部本部長代行)

桜井さんの優しさ、明るさにスクリーンから元気を貰いました。
私は芸人なので「怒り」を「笑い」に変えて伝えると元気になることを知っています。
無実なのに29年間も獄中にいた桜井さんが笑顔で前向きにしかもユーモアを忘れず生きている姿に私も「人を信じて、自分を信じて生きて行こう!」と、勇気をそして元気を貰いました。

松元ヒロ(芸人)

「冤罪で捕まって良かった」と、言い切れる桜井さんの哲学はあくまでポジティブであり、ただごとでない。

坂田明(ミュージャン)

桜井さん、なんて魅力的な人なんだろう。
こんな言葉言える人がいるなんて。
それに引き替え、なんという権力の傲慢さよ。
間違いを認めたならば、あやまりなさいよ。
むかっ腹が立ちました。
無実で29年間も牢獄に閉じ込められる事実。
そんな冤罪が数限りなく存在するこの国。
金監督、渾身の映画。
たくさんの方々に、見てもらいたい。

白崎映美(歌手

この映画は「ことばの力」の映画である。
桜井昌司さんは、強制的な「自白」によって、殺人犯としてデッチ上げられ、29年間、塀の中の生活を強いられた。
獄中で、自らの言葉を詩として書きとめ、うたとして歌い、「ことばの力」で、心と身体がバラバラになりそうになる自らを励まし、再生への道を一歩一歩進んでいった。
怒りや怨みつらみの苦い汁をぐっと飲みほし、それらを「笑い」に変えて生きる──その生き方に、毎日つまらないことに凹んで生きるぼくたちは大いなる力をもらえる。
桜井さんは言う。「自分のことばで、自分を汚さないように」と。だからこそ詩を書き、日記をつけ、自らの歌をうたってきたのだろう。
言葉は、ひとを破滅に導きもするし、再生にも導く。桜井さんは「笑い」に包みながら、「ことばの魔力」を、ぼくたちにそっと教えてくれている。

吉村喜彦(作家

桜井昌司さんの伸びやかな歌声が、作品を観終わったいまも、エンドレスで鳴り響いている。わたしの内側に刻まれたあらゆる思いが交錯したその歌声を反芻しながら、考える。わたしたちの社会に、いま「希望」と呼べるものがあるとするなら、それはどこに存在するのか。そもそも、わたしたちの「希望」とは何なのか、と。
問いはもうひとつある。金聖雄監督ご自身が、その作品のテーマに冤罪を据え続けるのはなぜなのか。一瞬の沈黙にも耳澄ませ、わたしは訊きたい、観たい。金聖雄監督の『オレの記念日』を。

落合恵子(作家、クレヨンハウス主宰)

とにかく桜井昌司さんの明るさとポジティブシンキングと思いになぜかとても励まされる。無実の罪で29年間収容された千葉刑務所に久しぶりに行って、懐かしいと言う桜井さん。私はそこから仰天した。お面白い桜井節に引き込まれた、最後まで一気に見た。冤罪を生まないように、そして再審法を作り、再審が機能するように国会でがんばります。桜井さんは、みんなを励ましてくれている。恵子さんにも乾杯!ぜひ映画を見てください。

福島みずほ(社民党党首・参議院議員)

冤罪を作り出した警察官、検察官、裁判官。子どものお誕生日、お正月、クリスマス…無実の人を獄につないだまま、心から楽しめた日はあったのだろうか。
片や無実の罪で逮捕された日も、無期懲役が確定した日も、息子の無実を訴えて駅に立った父が亡くなった日も…みんな「オレの記念日」にしてきた桜井昌司さん。
「不運だったけど、不幸ではなかった」という言葉が、ストンと胸に落ちる。

大谷昭宏(ジャーナリスト)

「死刑になりたい」と人を刺すほどに中学生の少女を追い詰める日本社会。彼女が刃物に握った渋谷で観たこの映画。ことを起こす前に彼女に見せられなかったことを悔やむ。全編に流れる詩人でシンガーソングライター桜井昌司の朗読や歌が観る者、聴く者の心をふるわせ、もう一度前を向こうと励ますからだ。桜井は言外に言う、自分が詩や歌を書き、メロディを紡ぐことができるのは、29年に及ぶ不条理な獄中暮らしがあったから、と。希有な詩人の原点と歌の生まれる在処を探りながら桜井に伴走し、ミュージカルドキュメンタリーに結実させた金聖雄監督。彼の「冤罪三部作」にも通じるブルースもまた、通奏低音となって流れる。「ことを起こす前」に是非、観て欲しい。

豊田直巳(フォトジャーナリスト

再審無罪判決、そして針の穴を通す以上に難しいとされる国賠訴訟での勝利。その筆舌に尽くしがたい過酷な闘いのなかでも人間性を失わない桜井昌司さんの日々が鮮やかに記録されていた。映画をなにより魅力的なものにしているのは、お連れ合いの恵子さんの存在だ。冤罪でおなじように苦しむ人たちを支援するため全国を駆け回るなかで、末期のがんにも見舞われるが、昌司さんのよさを自然体で支える姿にこころ洗われる思いがした。警察の捜査の闇や司法の理不尽を、静謐かつ骨太に告発するドキュメンタリー。金聖雄監督の12年にわたるゆるぎないまなざしが、見事な作品に結実したことを喜びたい。

永田浩三(大学教授・ジャーナリスト)

29年間獄中生活を強いられ、仮釈放の後も殺人犯の汚名を着せられたまま、計43年間もどうやって耐え抜くことが出来たのか。その感情のメカニズムが僕にはわからない。
僕に言えることは、桜井さん、あなたは誰よりも幸せになる権利がある。残りの人生を恵子さんと共に幸せに過ごしてください。

小室 等(フォークシンガー、作曲家)

あれだけ理不尽な裁判を受け続け、30年近い長期の獄中生活を余儀なくされながら、ここまで明るく前向きに生きられる人がいるという事実は、まさに「驚異」である。
ステージ4の直腸がんをも見事に克服しつつある桜井さん。どうか、あのチャーミングな「自慢の恋女房、恵子ちゃん」との生活を、今後も精いっぱい楽しんでください。

木谷 明(弁護士)

刑務所の中でも、楽しいことを見つけ、努力してきた桜井さん。飄々と現実を受け止め、これまでとかわらず、生活をしています。先のことは、誰にもわかりません。
これからも桜井さんと伴侶の方が楽しく暮らせますように。冤罪のない世の中を目指す闘いに、私も強く関心を寄せていきたいと思います。

宮子 あずさ(看護師・随筆家)

僕は桜井さんの姿を通じて自分達が閉じ込められている社会というシステムの機能不全を知り、彼の足元から始まる空の、世界の存在に人間の本来性を思い出す。そして彼の笑顔を眺めながら、彼の歌に痺れるのだ。

ダースレイダー(ラッパー)

2019年12月、私が現在、音楽の講師を務めている東京都立南葛飾高校定時制に桜井昌司さんを招いて、生徒たちにお話をしていただいた。はじめざわざわしていた生徒たちも、桜井さんの話にすぐに引き込まれ、真剣に深く聞き入っていった。桜井さんに出会うことができた生徒は、その瞬間、人生の軌道が確かに「変わった」。この映画を見た方にもまた、同じ出来事が起こるかもしれない。多くの人たち、特に高校生、大学生にぜひ観てもらいたいと思う。

李 政美(歌手)