金聖雄監督 最新作 映画『オレの記念日』

2022年10月8日(土)
ポレポレ東中野[東京] ロードショー

全国順次公開

出演
布川事件:桜井昌司、桜井恵子、クー、ヒメ、杉山卓男
袴田事件:袴田巖、袴田ひで子
東住吉事件:青木恵子
狭山事件:石川一雄、石川早智子

語り
小室等

監督
金聖雄

構成・編集:野村太/撮影:池田俊巳、渡辺勝重/現場録音:池田泰明/録音:吉田茂一
音楽・演奏:吉野弘志/スチール:村田次郎
イラスト:千葉佐記子、石渡希和子/パンフレット制作:松井一恵/デザイン:加藤さよ子
制作デスク:沢口絹枝、若宮まさこ/宣伝:明石薫
製作協力:陣内直行、映像グループ翔の会
企画・製作・配給:Kimoon Film

ドキュメンタリー映画/日本/2022年/カラー/104分

イントロダクション

冤罪により無期懲役判決を受けた20歳の若者が、
29年の獄中生活で悟った人生の意味とはーー

20歳の時に布川事件で冤罪により殺人犯とされ、29年間を獄中で過ごした桜井昌司さん。2011年に無罪判決、そして2021年には勝てないと言われ続けた国家賠償裁判での完全勝利など、次々に人生を逆転させていく。2019年には末期ガンにより”余命1年”と宣告されるも、食事療法などを続け、3年が過ぎた現在も精力的に全国を駆け巡る。

彼の「記念日」は今日も続くーー

1967年10月10日
 夜風に金木犀は香って
  初めての手錠は冷たかった

     ―桜井昌司「記念日」*より―

1967年10月10日の出来事から始まる詩。
桜井さんは、獄中にいた時から塀の外にいる父へ、母へ、そして自分自身へ向けて多くの詩を書きとめてきた。
冤罪により逮捕された日すらも「記念日」にして飄々と前に進み続ける桜井さんの姿は、閉塞感を抱えながら今を生きる私たちに大切なことを教えてくれる。

布川事件とは

1967年8月、茨城県利根町布川で発生した強盗殺人事件。
捜査が難航する中、茨城県警は地元で素行が悪かった桜井昌司さんと杉山卓男さんを別件逮捕。長時間に及ぶ取り調べの末、虚偽の「自白」をさせ、検察は物証がないまま起訴した。1978年無期懲役判決が確定。29年の獄中生活を経て仮出獄。2009年12月再審開始決定。2011年5月24日に無罪が確定した。

『獄友』の金聖雄監督最新作

監督は、『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』『袴田巖 夢の間の世の中』『獄友』を手がけた金聖雄。これまでも冤罪被害者たちの"人としての魅力"を伝え続けてきた。
12年間という長期に渡り桜井昌司さんを追った本作では、冤罪という不運を強さと優しさに変え、しなやかに生きる姿を丁寧に描き出す。

魔法の言葉

「冤罪で捕まって良かった!」

「どんなに辛いことや苦しいことがあったとしても、それを喜びに変えられるのが人生だ」

桜井昌司さんが言い放つ言葉には不思議な力がある。どう言えばいいのだろうか、笑った後で深く考え納得させられる。そしていつの間にか自分もがんばろうという気持ちになれる。桜井さんは私たちの想像が及ばないような壮絶な人生を経験している、にもかかわらず苦しみや絶望を決して語らない。だからこそ彼の生き方や一言ひとことは軽やかで重く、誰の心にも響くのかもしれない。

冤罪被害という絶望的なテーマの中で、私が映画を作りながら希望を見出していくと言う不思議な感覚を、ぜひ映画を観ることで体感してほしい。きっと誰もが一歩踏み出す勇気をもらえるだろう。

金 聖雄

コメント

冤罪は、その人の尊厳と自由を奪っていく。
桜井さんはなぜ、ここまで笑顔で笑っているのだろう
桜井さんはなぜ、ここまで受け止めていけるのだろう
この映画を通して「桜井さん」に惚れない人はいない
「自由を取り戻した日のために、仕事をする日のために」
奪われた日々が責任を取ることで戻ってくるわけではない
不思議
桜井さんはいつだって前を見ている
冤罪で収容されていた日々ですら
会いたい、桜井さんに
聴きたい、桜井さんの キンモクセイ。
冤罪によって自由を奪われた人が、今もいるかもしれない
無関心ではいられない問題を
無かった事にしてはいけない

サヘル・ローズ(俳優/人権活動家)

『不運は不幸ではない』という言葉にたどり着いたその日々を多くの人に知ってほしい。

周防 正行(映画監督)

最初から最後までゲラゲラ笑いながら観てしまいました。
桜井さんの人間的魅力はそれほど強烈です。
「ぴったし カン・カン」というテレビ番組がスタートし、
やがて「ザ・ベストテン」も始まり、
ついに「ニュースステーション」も終了。
これが、ぼくにとっての29年間でした。
桜井さんの獄中生活と同じです。
これは長かったでしょう。
その時間を「楽しかった」と言い切る桜井さんは、まさに超人。
若い人にとか司法関係者にとかは申しません。
すべての人に観てもらいたい映画です。

久米宏(フリーアナウンサー)

語弊を怖れず言うと、なんと面白い冤罪映画なのだろう、と。もちろんこれは「主演」桜井昌司さんのキャラクターに負うところが大きいのだけれど、そんなサービス精神旺盛な主役をそっと軌道修正する「助演」の奥様の存在も効いている。
桜井さんの痛切の念も一方で描かれ、従前の冤罪映画とは一線を画す面も。再審、国賠訴訟と勝利した後の半生を、いまだ冤罪と戦う被害者と生きる桜井さんは、そこで初めて静かな怒りをのぞかせる。

やくみつる(漫画家)

悪政まみれのクソニッポン国の中で、理不尽にも冤罪事件で29年間の牢獄生活を余儀なくされた桜井昌司さん。私だったら、生きる気力を無くして絶望の淵に沈んでしまうだろう。
しかし、桜井さんは違う。
「冤罪事件が私を生まれ変わらせてくれた、ありがたい、と思っている」と価値観を逆転させる奇跡の言葉。
まさに、国家権力の横暴さを無化せしめる魔法を見せてくれる映画である。

原一男(映画監督)

映画の観賞中、「この話がドキュメンタリーではなくフィクションだったらよかったのに…」と何度思ったことか。それほど桜井昌司さんに起きたことは辛い。冤罪で29年間にもおよぶ獄中生活を強いられたのだから。
でも桜井さんは最初から最後まで明るい。刑務所の中では毎日はつらつと元気に働いていたと語る桜井さん。現在は冤罪に苦しむ仲間を勇気づけるため全国を駆け回っている。
配偶者となった女性は「彼の明るさに惹かれた」と話す。桜井さんの言葉「不運は不幸ではない」を通して「幸せとは何か」を考えさせられる。「冤罪」だけではなく、「人間の生き方」について考えさせられる映画である。

サンドラ・ヘフェリン(著述家)

私は、子どもの頃に「警察により無実の罪がでっち上げられる」という国家の闇に触れる機会があった。「冤罪」である。
いわれなき罪を強大な権力にでっち上げられた人の怒りと失望と恐怖を思うと、今も、自分のこぶしを床に打ち付けて叫びたい衝動にかられる。
映画の主人公、桜井昌司さんは、自然体の姿を私たちに見せ、どんな人生でも楽しめると励ましてくれる。その裏側には、想像を絶する失望の夜と、今なお超えていない闇があるだろう。
明るい桜井さんの背中こそが、最大の権力への復讐であるように私には見える。そしてその隊列を共にしたいと、映画を観て改めて心に誓った。

大石あきこ(れいわ新選組 衆議院議員)

「死刑になりたい」と人を刺すほどに中学生の少女を追い詰める日本社会。彼女が刃物に握った渋谷で観たこの映画。ことを起こす前に彼女に見せられなかったことを悔やむ。全編に流れる詩人でシンガーソングライター桜井昌司の朗読や歌が観る者、聴く者の心をふるわせ、もう一度前を向こうと励ますからだ。桜井は言外に言う、自分が詩や歌を書き、メロディを紡ぐことができるのは、29年に及ぶ不条理な獄中暮らしがあったから、と。希有な詩人の原点と歌の生まれる在処を探りながら桜井に伴走し、ミュージカルドキュメンタリーに結実させた金聖雄監督。彼の「冤罪三部作」にも通じるブルースもまた、通奏低音となって流れる。「ことを起こす前」に是非、観て欲しい。

豊田直巳(フォトジャーナリスト

再審無罪判決、そして針の穴を通す以上に難しいとされる国賠訴訟での勝利。その筆舌に尽くしがたい過酷な闘いのなかでも人間性を失わない桜井昌司さんの日々が鮮やかに記録されていた。映画をなにより魅力的なものにしているのは、お連れ合いの恵子さんの存在だ。冤罪でおなじように苦しむ人たちを支援するため全国を駆け回るなかで、末期のがんにも見舞われるが、昌司さんのよさを自然体で支える姿にこころ洗われる思いがした。警察の捜査の闇や司法の理不尽を、静謐かつ骨太に告発するドキュメンタリー。金聖雄監督の12年にわたるゆるぎないまなざしが、見事な作品に結実したことを喜びたい。

永田浩三(大学教授・ジャーナリスト)

STAFF

監督
金 聖雄

きむ そんうん

1963年大阪・鶴橋生まれ。大学卒業後(株)リクルート勤務。その後自分で商売をはじめるが失敗。「何かやりたい、出来るんだ」という想いを胸にくすぶらせながら、東京へ…。東京にて料理写真家の助手を経験後、助監督になる。1993年からフリーの演出家として活動をスタート。PR映像やドキュメンタリー、テレビ番組などを幅広く手がける。2004年、在日1世のおばあちゃんの日常を4年間追いかけたドキュメンタリー映画『花はんめ』(キネマ旬報文化映画9位)を監督。2012年『空想劇場』。2013年『SAYAMAみえない手錠をはずすまで』(キネマ旬報文化映画3位)(毎日映画ドキュメンタリー映画賞)受賞。2016年、「袴田巖 夢の間の世の中」(日隅一雄 情報流通促進賞)。2018年『獄友』(キネマ旬報文化映画5位)。現在プロジェクト『さくらもと』が進行中。

ナレーション
小室 等

こむろ ひとし

1968年 グループ「六文銭」を結成。1971年 第2回世界歌謡祭にて「出発の歌」(上條恒彦+六文銭)でグランプリを獲得。1975年 泉谷しげる、井上陽水、吉田拓郎と「フォーライフレコード」を設立。2011年7月11日、「音楽活動50周年ライブ~復興~」を全労済ホール スペース・ゼロにて行う。現在はソロやユニットでのライブ活動の他、イベントプロデュース、テレビドラマ・映画・舞台の音楽制作、ラジオパーソナリティ、ドキュメンタリー作品でのナレーション、連載コラムの執筆など多岐にわたる。金聖雄監督作品ではこれまでも「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」の演奏、「獄友」の主題歌「真実・事実・現実 あることないこと」の作曲を担当。冤罪被害支援のため映画製作と連動して発足した「冤罪音楽プロジェクト イノセンス」にも中心的なメンバーとして参加している。

音楽・演奏
吉野 弘志

よしの ひろし

1955年、広島市生まれ。高校時代よりジャズベーシストを志し、1975年に東京藝術大学音楽学部器楽科(コントラバス専攻)入学。1980年、坂田明トリオに参加。以後、富樫雅彦・加古隆・山下洋輔など様々なグループに参加。故・武満徹プロデュースの「八ヶ岳高原音楽祭」、間宮芳生書き下ろし新作オペラ「ポポイ」など現代音楽の分野でも活動。2022年2月、生一本ベースソロアルバム「無伴奏ベース組曲 Prelude to Isfahan」(nbaba Record)を発表。

録音
吉田 茂一

よしだ しげかず

1958年、東京都江戸川区生まれ。岩波映画製作所にて映画録音の仕事を始める。PR映画、ドキュメンタリー映画、テレビ番組(NHK、民放各局)、Vシネマに多数携わる。主な映画制作は、『平成の坂田藤十郎』、『あぶあぶあの奇跡』、『平成 熊あらし』、『里海 八郎潟物語』、『福島 生きものの記録(全シリーズ)』、劇映画『まっ白の闇』。キムーンフィルムの『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』、『袴田 巌 夢の間の世の中』、『獄友』の冤罪3部作すべての録音を担当。

構成・編集
野村 太

のむら ふとし

1974年、東京都生まれ。青山学院大学卒業。就職氷河期ということもあり、映像について何も知らないままテレビ番組制作のプロダクションに入る。2010年よりフリーとなり、現在は主に映像編集を行う。テレビ番組に『ザ・スクープ』、『ガイアの夜明け』、『NHKスペシャル』、『ようこそ先輩』、『SWITCHインタビュー』、『グレートネイチャー』、『新日本風土記』、『アナザーストーリーズ』、『知恵泉』、『情熱大陸』など。金聖雄作品の『空想劇場』、『SAYAMAみえない手錠をはずすまで』、『袴田巖 夢の間の世の中』『獄友』にも参加。

カメラ
池田 俊已

いけだ としみ

1950年、滋賀県生まれ。映像プロダクション「有限会社 映像グループ翔の会」代表。テレビの長編ドキュメンタリー番組を中心に撮影活動。『シリア・ラプソディー~米国シリア人の苦悩~』、『エジプトの失踪者 ~“アラブの春”の若者は いま~』、『アリゾナ 不法移民ハイウェイ~荒野の攻防戦~』、『デヴィッド・ボウイの愛した京都』、『八十歳の漂流俳優 ヨシ笈田 三島が託した日本』。自主製作では反戦や冤罪支援映画製作を手がけ、その延長線上に金聖雄監督との冤罪を題材とした映画づくりがある。

お知らせ

劇場情報

地域劇場電話公開日
東京ポレポレ東中野03-3371-00882022年10月8日[土]〜
神奈川シネマ・ジャック&ベティ045-243-98002022年11月5日[土]〜
長野上田映劇0268-22-02692022年11月19日[土]〜
愛知シネマスコーレ052-452-60362022年11月
静岡シネマイーラ053-489-5539年内上映予定
静岡静岡シネ・ギャラリー054-250-02832022年10月28日[金]〜11月3日[木・祝]
三重伊勢進富座0596-28-28752022年12月9日[金]〜12月14日[水]
大阪第七藝術劇場06-6302-20732022年10月22日[土]〜
京都京都シネマ075-353-47232022年10月21日[金]〜
兵庫元町映画館078-366-26362022年10月22日[土]〜
福岡KBCシネマ1・2092-751-4268年内上映予定